働くボクサーの 備忘録

〜VMware Workspace ONE関連と雑談〜

Broadcom(ブロードコム)社とはどんな会社なのか

皆さん、押忍!
働くボクサーのgonです。


前回はVMware社の歴史を簡単にまとめました。
今回は2週間ほど前(2023年11月22日)に、Broadcomブロードコム)社がVMware社を買収を完了させたと報道があり、今後は「VMware by Broadcom」のブランドとしてBroadcom社が事業を運営することを正式に発表しましたが、VMware社を買収したBroadcom社とはどのような企業なのかをみていきたいと思います。

Broadcom社を紐解く際に、旧BroadcomBroadcom Corporation)と旧Avago Technologiesの2社を中心に振り返ってみていきたいと思います。
※旧Avago Technologiesを見る理由は、Broadcomを買収してBroadcom Inc.に改称し今に至っているため

Broadcomは、1995年にUCLAの教授であったヘンリー・サミュエリ氏と教え子であったヘンリー・ニコラス3世氏の2人で、アメリカのカリフォルニア州のロサンゼルスで起業しました。(1995年、本社をアーバインに移転)
ヘンリー・サミュエリ氏とヘンリー・ニコラス3世氏の両者とも、UCLAの卒業生で、どちらもデジタル信号処理に関する論文で博士号を取得していたため、専門分野であるデジタル信号処理を得意とした会社として起業しました。
Broadcom社は、1998年には早くもIPO(株式市場への新規上場)を果たしています。

株式市場に上場し、順調に事業は推移していましたが、Broadcom社が独自に立ち上げたデジタル信号処理技術を製品として落とし込めるには難しいこともあり、Broadcom社の技術を応用できそうな製品を作っている会社を買収していきます。

1999年から、ネットワークやストレージ、VoIP/DSP、ワイヤレスなどに関連した企業を次々買収を行い、Broadcom社の製品ラインアップを拡充していきます。

ヘンリー・ニコラス3世は、2003年にBroadcom社を退社しますが2003年までに、23社の会社を買収し大きく成長を果たします。
また、2008年にヘンリー・サミュエリ博士が取締役会会長を退任しますが、2008年までに38社もの会社が買収し時代を代表する大企業となります。

最終的に、Avago Technologies社によって旧Broadcom社が買収されるまで合計54社買収しました。買収した企業の多くは、ハードウェアを提供する企業でした。


ここからは、旧Broadcom社を買収したAvago Technologies社について見ていきます。
Avago Technologies社の前身は、Hewlett-Packard(HP)です。
HPは1999年にコンピュータとプリンタ以外の全ての事業を、Agilent Technologies社として分社化します。
2008年ごろまでは、事業をいくつかに分割し売却をしていき、
2009年にはIPO(株式市場へ新規上場)を果たします。会社のポートフォリオを入れ替え、2010年頃から業績が少しずつ好転していきます。

このタイミングから、一気に事業拡大を目指し始め2013年にLSI Corporation、2014年にEmulexを買収、2015年に旧Broadcomを買収します。(社名は買収された側の「ブロードコム」が採用され、Brocade Communications Systems(ブロケード コミュニケーションズ システムズ)とします。)
2018年には、Qualcomm社の買収を試み失敗しますが、その後2018年11月にはCA Technologies社、2019年にはSymantec社を買収し半導体メーカーから「半導体とソフトウェアの組み合わせによるソリューション提供企業」へと大きく変貌します。

Avago Technologies社も企業買収を繰り返し、1976年の創業から現在まで約71社ものソフトウェア企業を買収して成長します。
2020年にガートナーが発表した「世界半導体化メーカー別売上ランキングでは、2019年に引き続き、売上第6位と発表されており世界有数の大企業となります。

 

VMware社もBroadcom社も両者とも買収を繰り返し、ここまで大きな成長を遂げてきました。そんな2社がこれから1つになるのですが、この買収で様々なことが期待されます。

Broadcom社のCEOであるTan氏は、2023年11月22日のブログの中で、「VMwareの買収が成功に終わり、当社にとってエキサイティングで新しい時代が始まることをうれしく思う。VMwareがエンジニアリング第一、イノベーション中心の当社チームに加わり、世界を主導するインフラストラクチャー技術企業の確立に向けた新しい重要なステップである」とコメントされています。

また、今後も変わらずVMwareビジネスの継続されることや、よりVMwareの成長を後押しするために、VMwareイノベーション創出と顧客価値のために毎年投資を強化し、その半分を研究開発、残りの半分はVMwareやパートナーのプロフェッショナル サービスを通じたソリューション展開にあてていくとコメントしています。

 Broadcom社が、VMwareビジネスで主に投資する領域として、
・アプリケーションネットワーキングとセキュリティ領域
・モダンアプリケーション領域
・データセンターからエッジにおけるソフトウェアによる変革領域

としています。

アプリケーションやセキュリティ領域には、先端技術であるAI(生成AI)などが活用に期待できます。

また、「VMware Tanzu」を生かしたアプリケーションの開発領域や、VMwareが展開してきたソフトウェアデファインドデータセンター(SDDC)領域への投資も見込まれています。

Broadcom社の歴史を見てきても、買収事業に対して長く投資を行い、ここまで大きく成長してきました。今後、Broadcom社のVMware事業がどのようなシナジー効果を生み出し社会を変化させていくのか注目です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
押忍! 押忍!



(参考資料)

finance.yahoo.co.jp

 

www.bloomberg.co.jp



techtarget.itmedia.co.jp

 

jp.broadcom.com



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